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のどぐろ 刺身
のどぐろも刺身となりますとやはり鮮度が良いものに限ります。大きさは350~400g程度以上が理想ですがお値段も張りますので、そこはできればということで。
3枚におろして、上身(じょうみ)*にしましたら皮を引き、そぎ造りがよろしいかと思います。おおきなのどぐろでしたら平造りでもいいのですが、1本からそう多くは引けません。一切れが幾らにつくか考えると、削ぎづくりということになりますね。
のどぐろ 酢〆
のどぐろが手のひら大の小さなものでしたら、軽い酢〆にしてもいいですね。『千鳥酢』(村山造酢)というまろやかな酢があります。高級魚のどぐろにはこのような高級酢を使いたいところです。
②薄塩をして2~30分経ったら冷水で洗い、氷をいれた酢に5~10分漬けます。
③水気をふき取り、酢で汚れを拭きとった昆布で挟んで1時間程度締めます。
④そぎ切りにします。
のどぐろ刺身 皮霜づくり (湯引き)
のどぐろを三枚におろし骨を抜いて上身(じょうみ)にし、皮にぬれガーゼを被せて、熱湯をかけます。氷水につけ冷えたら水けをふき取り刺身にする。醤油でもポン酢醤油にも合います。
このやり方を「皮霜づくり」とか「湯引き」などといいます。鯛を湯引きにしますと皮目が松の木の樹皮に似ているところから「松皮づくり」ともいわれます。のどぐろは皮もうまい魚ですので皮霜づくりは理にかなった調理法です。また、のどぐろの皮を引くのが難しいという方も湯引きのほうがよろしいかもしれません。見た目にもきれいです。
素早く丁寧にやることがおいしくきれいに仕上げるコツです。
のどぐろ刺身 焼霜づくり
「焼霜づくり」は「カツオのたたき」でおなじみの、皮目を直火であぶる方法です。近ごろは熱源はバーナーを使う方がほとんどです。のどぐろの上身(じょうみ)を炙って氷水で冷やすやり方や、刺身に引いたものの皮目を焼くという方法があります。
後者は身に熱が入り過ぎないよう気をつけなければなりません。例えば、氷の上にバランや笹葉などを敷き、皮つきののどぐろ刺身を並べ、皮を焼くなどという方法もあります。
身に熱が入り過ぎずに皮をきれいに焼くためには、ちょっと慣れが必要かもしれません。余った刺身をさっと炙り、サラダ仕立てもうまいものです。のどぐろが余ることはそう多くはないでしょうが。
のどぐろ昆布〆(昆布締め)
「昆布〆」あるいは「昆布締め」と表記しますが、このブログでは「昆布〆」にしておきます。昆布で刺身をはさむことにより水分が抜け、昆布の滋味が刺身に移ります。
軽い昆布〆と、しっかりと締める昆布〆があります。富山の伝統料理である昆布〆は、もともと保存のための方法でしたからしっかりと締めます。富山名物の「サスの昆布〆」はもとのカジキ(サス)と昆布の味が相まって独特の味わいになっています。のどぐろの昆布〆も長時間締めたものが富山では好まれるような気がします。軽い昆布〆はもとの魚の味を大切にし、昆布の味が魚に移り過ぎることを避けて短時間で昆布からはずします。
また上身を昆布締めにして食べる前に刺身に引くやり方と、先に刺身に引いた状態を昆布締めにする方法があります。上身を昆布締めにして後で刺身に引くのは、慣れた方でないと少し難しいかもしれません。ことに長時間締めたものは昆布の粘りが移っていますから切りにくいでしょう。先に刺身に切って昆布〆めにしたものならそのまま器に盛ることができます。
のどぐろ昆布〆は皮を残すか引いてしまうかという問題があります。せっかく皮もうまいのどぐろですから残したまま昆布〆にしたいところですが、これが結構難しいのです。皮霜でも焼霜にしても昆布にくっついてしまいますから、丁寧に扱わないと部分的に剥がれたりします。
昆布〆の作り方じたいは難しいものではありませんが、奥は深いものだと申し上げておきます。何度か試みるうちに好みの出来がわかってまいります。
昆布〆用の昆布がなければ、板昆布でも構いませんが、波うった昆布はすき間ができやすいので酢拭きの際に少し時間かけて平らにしましょう。酢ではなく日本酒でふき取るという方もいらっしゃいます。
昆布〆の前に、魚(のどぐろ)に塩を振って水分を出し、ふき取りますが、塩加減があんがいむずかしいのです。塩辛くなってもいけませんので、脱水シートを利用したほうがうまくいきます。昔は魚の上に紙を当てて塩を振る紙塩(かみじお)という方法をとることもありました。
のどぐろ 刺身や昆布〆を煎り酒で
「煎り酒(いりざけ)」はご存知でしょうか。刺身を醤油ではなくいり酒をつけると、ちょっと乙な味でやみつきにになります。のどぐろの刺身や昆布〆でお試しください。
煎り酒で のどぐろを愉しむ
【材料】 出汁、酒、梅干し、鰹節、薄口しょうゆ、酢
同量の出汁と酒に梅干しをちぎって入れ火にかけます。2割程度つめたら鰹節を入れて(追いがつお)さらに半量になるまで煮詰め火からおろします。これを漉して酢、薄口しょうゆで味を決めます。
引いた出汁がなければ、日本酒に昆布をいれて一晩浸しておくことでも構いません。作り方は他にも方法はありますが、梅、昆布、鰹節、酒は必須です。酒は料理酒ではなくふだんお飲みの上等な純米酒を使いましょう。