のどぐろ しゃぶしゃぶ」、いまは家庭でもたのしめる料理となっていますが、さほど昔からあったわけではありません。

初めて食べたのは2006年のことでした。新橋の和食店で「ぶりしゃぶ」を食べた折に、のどぐろ しゃぶしゃぶ のメニューがあることを知り、改めて出かけました。それから20年も経っていませんが、当時はまだ珍しかったはずです。このページの内容はその店、「酒肴旬菜おおあみ」での取材と同店の監修をもとにまとめました。(2022年2月・更新)

2022年8月・更新
このページの最下部に記事を追加しました「 のどぐろしゃぶしゃぶのレシピを教えてください」

のどぐろ しゃぶしゃぶ を食す

牛肉の「しゃぶしゃぶ」は戦後昭和20年代に大阪の店が始めたそうです。すき焼とは違う牛肉の食べ方に人気を博して、全国に広まっていったとか。もともとは新疆ウィグル自治区の回教徒に伝わる羊肉の薄切り鍋料理が、中華料理の「涮羊肉(シュワンヤンロウ・涮火锅)」となり、日本にわたってきたというのが定説です。涮羊肉の「」という字は訓読みで「すすぐ」です。

羊肉を牛肉にかえゴマダレやポン酢で食べるのが日本のしゃぶしゃぶとなり、さらに近年は魚介類のしゃぶしゃぶ専門店も現れるようにもなりました。今までたくさんの種類の魚介類しゃぶしゃぶを食べてきました。

(タイ)しゃぶ」、「鱧(ハモ)しゃぶ」、「(ぶり)しゃぶ」、
蛸(タコ)しゃぶ」、「(カニ)しゃぶ」、「(サワラ)しゃぶしゃぶ」、
(サバ)しゃぶしゃぶ」、「金目鯛(キンメダイ)しゃぶしゃぶ」、
キンキ(キチジ)しゃぶしゃぶ」、「若芽(ワカメ)しゃぶしゃぶ」、
蛍烏賊(ホタルイカ)のしゃぶしゃぶ」。。。

 

きりがありませんが、いつどこで食したかも覚えております。前出の「おおあみ」では、のどぐろを含めた魚種3種ほど盛り込んだ「富山湾のしゃぶしゃぶ」というメニューもありました。ことほど左様に新鮮な魚介類ならしゃぶしゃぶとしてたのしめるということになります。

のどぐろ入り
富山湾しゃぶ①

のどぐろ入り
富山湾しゃぶ②

のどぐろ しゃぶしゃぶ 【作り方】

のどぐろのしゃぶしゃぶは鮮度の良いのどぐろを使います。お刺身としてもいただける鮮度がのぞましい。店では、のどぐろは400g以上のものを使うそうです。家庭ではそのようなサイズはなかなか事情が許さないこともありますので、できればということで。

のどぐろしゃぶしゃぶ 作り方【手順】

1.のどぐろは常のとおり、ウロコを取りエラや内蔵をとり除き流水でよく洗って水分をふき取る。のどぐろの肝も材料として使うので取っておく。

2.1.を3枚におろし、薄く塩を振り、2~30分ほどねかせる。(※塩の振り方:バットに少量の塩を振り、3枚におろしたのどぐろの身を下に並べ、上から皮にも少量の塩を振る。)肝にも塩を振っておく。

3.小骨を骨抜きで抜き取り、まな板に皮を上にして並べ、水気をよく絞ったぬれ布巾をかける。まな板に傾斜がつくように一方を持ち上げ、布巾の上からお玉で熱湯をかける。

4.3を素早く、氷水にとる。乾いた布巾で水気をていねいに拭く。
肝は熱湯に数秒間くぐらせ冷水にとり丁寧に拭く。

5.のどぐろの身の薄いほう(腹がわ)を手前におき、包丁を右にねかせて、削ぐように長く切る。切った先端を内側におり反時計回りに少しずつ重ねて盛っていきます。(つま折り)

のどぐろしゃぶしゃぶの鍋だし

ここではしゃぶしゃぶの鍋にはるダシを「鍋だし、その鍋だしに用いる、昆布とカツオ節から取った基本のダシを「出汁と書きます。

しゃぶしゃぶ用の鍋だしは のどぐろの骨のほか天然鯛の中骨や兜、カマなどを使った出汁を店では使っているそうですが、家庭ではそうもいきません。鰹節と昆布で引いた出汁を使いましょう。鰹節と昆布の出汁の作り方→(出汁の引き方

いっそのこと、出汁を省いて、水と日本酒を直接鍋に注ぎ、少量の塩、薄口醤油をぽとりと落とし、昆布を入れる、それだけでもよろしいでしょう。のどぐろ自体がおいしいのですから、濃厚な出汁は必要ないわけです。

お店では

のどぐろしゃぶしゃぶの締めとして召し上がる雑炊の味を際立たせるために、鯛の骨などからとった出汁を使っている

そうです。

鯛の兜、カマ、中骨などから引いた出汁は雑炊がいっそう旨くなる。

 

出汁の引き方

家庭では水で構いませんと申しましたが、きちんとやる方のために出汁の引き方も載せておきます。

基本の出汁

昆布とカツオ節(削り節で可)を使います。値は張りますが材料は上等のものを使いたいところです。昆布は厚みと幅があってなるべく平らなもの(利尻昆布、羅臼昆布、真昆布など)、削り節は薄くて広くて光沢があるものが上等品です。
材料【2リットル(10カップ)の出汁を引くとして用意する材料】
       水2.5リットル(約13カップ)、昆布30g~、削り節60g~
① 昆布の表面を固く絞った濡れ布巾で拭く。のれん状に数か所切り込み。
② 鍋に水2.5リットル(約13カップ)と昆布を入れて30分間放置。
③ 30分経ったら②を火にかけ、あくをすくい、沸騰の直前で昆布を引き上げる。
④ 火を止め削り節を入れて再び火をつける。沸騰したら火を止め布で漉す。

昆布もカツオ節もぐらぐら沸騰させないように気をつけます。昆布の表面に小さな泡が立ちはじめたら昆布を持ち上げ軽く爪を立てて爪あとが残るぐらいが丁度よい。不十分なら少量のさし水をして沸騰の時間を遅らせます。
以上は基本の出汁の引き方です。鍋につかう出汁は④で削り節を入れたら、火を弱めて15分~程度煮出してから漉す、という方法もあります。昆布や鰹節の量や割合も料理人により異なります。

出汁を引いた後の昆布は佃煮にしましょう。

出汁を「引くといいますが、昆布や鰹節からうま味を引き出すので「引くですね。うま味を取り出すのですから「取るでもかまいません。

出汁を使わないのどぐろしゃぶしゃぶの鍋だし

●材料
家庭でのどぐろしゃぶしゃぶを愉しむ際に鰹節や昆布で引いた出汁を使わない方法です。

しゃぶしゃぶの鍋に水と水の10~15%ぐらいの量の日本酒、昆布を入れておきます。塩は一つまみ、薄口しょうゆをぽとりぽとり垂らし、。沸騰する手前で昆布はひきあげます。沸騰した鍋だしの中に昆布を放置すると、余計な臭みやぬめりが溶け出してきます。

のどぐろ しゃぶしゃぶの鍋は、土鍋やホーロー鍋、ステンレスやアルミのうどんすき用の鍋でもいいでしょう。

のどぐろしゃぶしゃぶの付け合わせ野菜

ほぼ年間を通して食することができる のどぐろ しゃぶしゃぶですから、付け合わせる野菜なども季節のおいしいものを添えて愉しむことができるわけです。

鍋だしが濁らないものを使い、場合によっては水に晒したり、霜降りをします。固いものは下茹でしておけばさまざまな野菜が使えます。種類も量も多くを用意する必要はありませんが、主役ののどぐろを邪魔しないようにおすきなだけ盛るようにします。

「酒肴旬菜おおあみ」で折々の のどぐろ しゃぶしゃぶに添えられた野菜を思いつくままに列挙してみます。

長ネギ、九条ネギ、白菜、大根、人参、水菜、セリ、春菊、クレソン、白菜、しんとり菜、ゴボウ、蕪、生シイタケ、エノ、マツタケ、ヒラタケ、シメジなどキノコ類、蓮根、筍、蕨、うるい、蕗、ヤングコーン、オクラ、独活、三つ葉、アスパラ、若芽、春昆布、葛切り、餅、etc...(のどぐろ しゃぶ 折々の付け合わせ野菜の画像 )

のどぐろしゃぶしゃぶの付け合わせ
【季節の野菜や茸・海藻など】

野菜の下ごしらえに手間をかけることも必要です。例えば長ネギは薄い笹うちに切ってほぐし水で晒しておきます。前述しましたように霜降りや切り方で食感や見栄えが良くなります。

店ではのどぐろと野菜は別の器に盛っていますが、少人数や一人用であればひとつの器に盛ってもいいでしょう。

 

のどぐろしゃぶしゃぶ 食べ方

つけだれ

のどぐろしゃぶしゃぶのつけだれはポン酢醤油(ちり酢)または胡麻だれが定番です。あまり濃厚なつけだれではなくポン酢醤油が適していると思います。ポン酢しょうゆの作り方ついてはこちらのページ↓に載せてありますので参考になさってください。

薬味

薬味は小口切りのアサツキと紅葉おろし。それにあれば酢橘を添えます。紅葉おろしの作り方はのどぐろ 【酒蒸し・ちり蒸し】に書きましたが、↓再掲しておきます

 

紅葉おろし作り方
紅葉おろしは、皮をむいた大根を輪切りにし、割箸などで穴をあけそこにタネを除いた唐辛子を差し込んでおろし金ですり下ろします。あるいは、輪切りの大根の皮をむき半月切り、その2枚の間にタネ抜きの赤唐辛子を挟んですりおろします。これを軽く絞って使います。

のどぐろしゃぶしゃぶ おいしい食べ方

しゃぶしゃぶに限らず鍋料理は和気あいあいと仲間内で味わうのが何よりですね。かた苦しい規則はありません。お好きに召し上がっていただいて良いのですが、さらにおいしくいただくコツをお話しします。

前述の出汁を使わない方法では、”しゃぶしゃぶの鍋に水と水の10~15%ぐらいの量の日本酒、昆布を入れておきます。”
火をつけ、鍋だしが沸騰する少し手前で昆布を引き上げます

鍋の中に一度にたくさんの具材を放り込まないでください。ご自身が食べる分だけを箸に取りしゃぶしゃぶしてください。そしてポンズ醤油にそっと浸したら、すぐに召し上がってください。それを召し上がってからつぎの具材に移りましょう

お野菜も同様、召し上がる分だけを鍋にいれます。そして煮えばなをめしあがってください

一度にたくさんの具材を放りみ、煮込んでしまうことは避けてください
締めの雑炊やうどんまで澄んで濁らない状態の鍋出汁を保つよう心がけてください。

お口に入れる分だけ少しずつしゃぶしゃぶ、そして素早く召し上がるのがおいしくいただくコツです。

「お好きに召し上がっていただいて」と申しておきながら、ずいぶん赤下線が多くなってしまいました。鍋料理が載った雑誌や本などでは鍋の中に具材をたっぷり入れたような写真が多いのですが、あれは具材をお見せしたいからということからだと思います。のどぐろしゃぶしゃぶは煮込む鍋料理ではありません。

のどぐろしゃぶしゃぶの締め【雑炊・おじや】

雑炊とおじや
のどぐろしゃぶしゃぶに限らず、鍋料理の締めの雑炊が愉しみという方が多くいらっしゃいます。うどんなどの麺類も捨てがたいのですが、今回は雑炊とおじやについてのうんちくです。お付き合いください。

雑炊」は古くは「増水」と書いたそうです。元来は穀物の粉を水で溶いて煮立てた吸い物だったようです。だから「増水」というわけです。
やがて残った米飯に味噌汁などを混ぜて食する、いわば残り飯の再利用として作られるようになりました。さらに現代では鍋出汁を使った締めの雑炊、あるいは和食の一つとしての雑炊が確立されたということです。

辞書には「おじや」は「雑炊」の女房言葉とあります。つまり同じものということになりますが、別ものだという意見もあります。

別もの説でよく聞きますのは
雑炊は飯を水で洗いサラサラにしてから使い、おじやは飯を洗わずにそのまま使う」というもの。以前は私もこのように教わりました。

他にも諸説あります。例えば、雑炊は煮込まずさらっと仕上げる、おじやは飯粒の形がわからなくなるほどグツグツ煮込むものという説。

味噌や醤油の濃い味付けがおじやで、塩味など薄い味付けが雑炊というものもあります。どちらの説もおじやと雑炊の語感からそのように思える気もします。

おじやの「じや」は煮える音の擬態語だそうです。時間をかけて煮る様を「じやじやと煮る」というのでしょうか。ご存知のように女房言葉は擬態語・擬音語、比喩などの表現を多く用います。また「お」という接頭辞や「もじ」などの接尾辞が付くことがしばしばみられます。おじやが雑炊の女房言葉であるのはまちがいなさそうですね。
してみるとおじやは室町時代から宮中の女房に使われていた優美で上品な言葉ということになりますか。 参考:https://ja.wikipedia.org/wiki/女房言葉

おじやの語源を追っていますとスペイン語説(俗説?)にも出くわします。スペイン語で鍋やポットを「olla」(オージャ)というからです。ポルトガル語でも鍋は「olla」だったかと思います。

何もかも雑炊としてあたたかく  山頭火

 

酒肴旬菜おおあみメディア掲載・放映

* 日本TV「ラジかるッ」2007年12月12日
* フジTV「ペケポン」2008年12月23日
* 「Hanako」NO.920/2008年4月/マガジンハウス
* 「散歩の達人」2008年11月号/交通新聞社
* 「鍋家横丁」 2008年12月・刊/山と渓谷社
* 「ごちそうグルメ有名店のまかない」2009年12月/KKベストセラーズ
* 「キトキトとやま協力店ガイド」2009年1月~毎年/いきいき富山館
* 「東京で味わう!郷土&ご当地グルメ」2012年1月/ぴあ株式会社
* 「2nd」"東西ごちそう鍋"2015年vol.95/ 枻出版社
* 「週刊文春」"切り捨て御免食味探検隊"2016年12月1日号/文芸春秋社
* 「メトロミニッツ」2016年 NO.169号/スターツ出版
* 「北日本新聞」"とやま味めぐりin東京" 2017年1月1日/北日本新聞社
* 「出没!アド街ック天国」2017年9月/テレビ東京
* BSフジTV「極皿~食の因数分解」2018年2月10日
* 「新橋名酒場100」「ぴあ」ムック2018年3月/ぴあ
*『おとなの週末』ほっこり冬鍋2018年12月号/講談社
*週刊ポスト『ご当地鍋を○で食レポ!』2019年2月22日号/小学館
*ニッポン放送「夕暮れ WONDER4」"噂を求めてどこまでも" 2020年3月16日

『おいしい魚と日本酒の店』

『新橋名酒場100』

のどぐろしゃぶしゃぶのレシピを教えてください

《追加記事:2022年8月・記》
「のどぐろしゃぶしゃぶのレシピを教えてください」

というご要望がありました。

さてと、「レシピ」とおっしゃってもこのページでここまで掲げてきたのがレシピのつもりなのですが...

わかりました。回りくどいんですねこのブログの記事や言い回しが。それなら時々(よく)言われるんです。端的に言えば「しつこい」記事だから簡潔にまとめろということなのでしょう。やってみましょう。

むかしは「レシピ」なんて言葉は使われませんでしたよ。前世紀のおわりごろから多く使われるようになった気がします。なんでもカタカナ語なんですねぇ。もとは英語の"receipt"かフランス語の"recette" あたりのなのでしょうがこれはね、、、  おっと、先に「のどぐろしゃぶしゃぶのレシピ」でしたね。簡潔にね。

 のどぐろしゃぶしゃぶのレシピ

■料理名:のどぐろしゃぶしゃぶ

■材料 (4人分)
のどぐろ(アカムツ)450g~1本
野菜:長ネギ、白菜、しめじ、シイタケなどキノコ類、水菜(芹または菊菜)など
※野菜は一例です(季節のお好み野菜を)
鍋出汁:出汁(または水)、酒、昆布、薄口醤油
薬味:小口切りのアサツキ、紅葉おろし。あれば酢橘
つけだれ:ポン酢醤油
■作り方
①ノドグロ
ノドグロは刺身で食べられる新鮮なものを用意します。
三枚におろし、上身にして腹側と背側に分けます。
(※刺身用に柵どりしたのどぐろでも可)
皮目を湯びきにして冷水にとりキッチンペーパーなどで水分をふき取ります。(霜降り)
厚さ3mm程度の大きい削ぎ切りにして平皿に盛り付けます。(1人分7枚程度)

長ネギは薄い笹うちで。お好みの季節の野菜を添えて。

②野菜
ネギはできるだけ薄い笹うちにして冷水の中でほぐし、水分をふき取ります。
白菜は白い肉厚の部分を使い短冊状に切りそろえます。
椎茸は軸をとり、しめじはほぐしておきます。水菜はさっと湯通し冷水にとり絞って切りそろえます。
野菜を別皿に盛り付けます。
③鍋だし
鍋に出汁(水でも可)水の10%程度量の日本酒、昆布を予め入れておきます。
火をつけ、鍋だしが沸騰する少し手前で昆布を引き上げます。
④食べ方
沸騰した鍋出汁に野菜とのどぐろをくぐらせポン酢しょうゆで召し上がります。薬味は好みで調節。酢橘を絞りかけてもよし。
⑤仕上げ
仕上げに雑炊、餅、うどんなどお好みで。
■コツ・ポイント
鍋の中にのどぐろや具材をぶち込まないこと。食べる分だけをしゃぶしゃぶする。煮込んではダメ。

レシピとレシート 《コラム》

さっき言いかけた「レシピ」という語の続きなんですが、英語の「recipe(レシピ)」は医薬の言葉で「処方」「処方箋」の意味が先にあり、18世紀半ばから料理用語としても使われだしたようです。語源は「受け取る」と意味のラテン語「recipio(レキピオ)」なんだそうです。(命令刑をrecipe(レキペ)といい、英語recipeの綴りが同じです)

フランス語では「recette (ルセット)」といいます。

「レシピ」は処方箋の意味があったといいましたが、病院の窓口で「レセプト」ってよく耳にしますでしょ。医療事務の言葉で「診療報酬明細書」のことですが、「レシピ」と関係ありそうな気がしませんか。

「レセプト」はドイツ語「rezept(レツェプト)」からの訳語だそうです。「処方箋」のほかに「調理法」「 レシピ」の意味でも使われています。ほら、やっぱりね。
出典「プログレッシブ 独和辞典」 

フランス語の「recette (ルセット)」には「プログレッシブ 仏和辞典」では「処方箋」という訳は見あたりませんが、「レシピ」のほかには「レシート」(英語のreceiptとおなじ)が載っています。

英語のreceiptの語源を調べると「recipe(レシピ)」と同じラテン語でした。
古期フランス語 receite(領収書)⇒ ラテン語 receptus(受け取った)⇒ ラテン語 recipio(受け取る)
出典:「語源英和辞典」 

英語のreceiptは「p」は発音しませんが、語源の名残りでpがのこっているのでしょうか。

ちょっとここまでを整理すると、英語のrecipeとreceiptの語源は同じで、フランス語では「レシピ」も「レシート」も「recette (ルセット)」でokというところまでたどってきました。

英語のreceipt(レシート)にも「レシピ」の意味があるのじゃないかなと思って追いかけているのですが、オンラインの英語の辞書に見当たらないんですね。

手掛かりはないかと英国のコリンズ英語辞典(Collins English Dictionary)のサイトで
"What is the difference between receipt and recipe?"
(receipt とrecipe の違いは何ですか?)
と入れてみると、"recipe"には次のように書いてありました。

2 `recipe'
Don't use `receipt' to refer to a set of instructions telling you how to cook something. The word you use is recipe .

和訳:料理の仕方を説明した説明書を指すのに、`receipt' は使わないでください。レシピ(recipe)を使うのです。(和約はDeepL)

これではわかりませんねぇ。
でもね、見つけましたよ。
米国名門出版のメリアム=ウェブスター(Merriam-Webster)https://www.merriam-webster.com/ のサイトにのっていました。
When a Recipe Was a ‘Receipt’ (レシピ(Recipe )が「レシート(Receipt)」だった時代)
というタイトルのページで、receiptとrecipeにかかわるウンチクが述べられ、使用例も豊富に掲載されています。一部を抜き書きします

Recipes are basically instructions; receipts are a record of what has been received as part of a transaction. Both recipe and receipt derive from recipere, the Latin verb meaning "to receive or take," with receipt adding a detour through Old North French and Middle English.
But there was a time when receipt was used for what we now call a recipe.

和約(DeepL):レシピは基本的に指示書であり、レシートは取引の一部として受け取ったものを記録したものである。レシピもレシートも、ラテン語で「受け取る、取る」を意味する動詞 recipere に由来し、レシートは古北フランス語と中英語を経由して回り道したものが加わっています。
しかし、今でいうレシピにレシートを使っていた時代もある。

⇑サイトにはレシピの意味でreceiptが使われている具体例がたくさん載っています。

 

すみません、長々と。これからは、ブログ記事もレシピもなるべく簡潔にまとめるよう努力するつもりです。でもね、簡潔に、と申しましてもレシピは...
しつこいですね。

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