のどぐろしゃぶしゃぶは鍋料理ではありますが、季節は冬に限る必要はございませんでしょう。上等なのどぐろが手に入ればいつだって構やしません。
夏に涼しいお部屋でのどぐろしゃぶしゃぶを突っつくというのも乙なものでしょう。鱧(ハモ)しゃぶだって真夏にいただきますでしょ。 とは言っても、ノドグロの旬は全国的に秋から冬ということになっています*。
夏のノドグロはダメなのかというとそんなことはありません。当ブログ内の「のどぐろの産卵期と旬」でも申しましたように、ノドグロの脂の乗りは季節に関わらず、一定の大きさ以上なら年間を通して脂がのっています。夏ののどぐろしゃぶも愉しいものです。
目次
のどぐろしゃぶしゃぶを家庭で。【作り方】
のどぐろしゃぶしゃぶは、お魚を捌ける方なら決して難しい料理ではありません。 コツはそれぞれの手順をていねいに素早く行うことです。ふだん料理をやっている方はお判りでしょうが、前もって手順を考え、材料や道具などを準備してから取りかかることです。
おいしい料理を手早くきれいに用意するのは段取り次第ですね。 作り方と食べ方の手順はこちらのページをご覧ください。⇓
問題はどのようにして良質のノドグロを手に入れるかです。召し上がる日が決まっていても当日に必ず入手できるとは限りません。漁場だって時化(しけ)の時はムリですから、魚屋さんに頼んでおいても確約はしてもらえませんでしょう。やむなく冷凍のものを使うということになるかもしれません。でも冷凍のものが良質かどうか素人が判断するのは難しいですね。
中には産地で獲れたての新鮮なノドグロを丸のまま急速冷凍して販売している業者さんや通販サイトもあります。このような信頼できる冷凍のどぐろであれば当日解凍して調理してもいいのですが、初めて購入する場合はどのような商品なのか見極めるのは困難です。
このような場合、方法の一つとしては、丸の冷凍のどぐろを当日解凍して使うのでなく、前もって(冷凍ではない)生の新鮮なノドグロを目利きの魚屋などに頼んで用意します。それを3枚おろしの状態か上身(じょうみ)*にしてから冷凍します。(おろすのは魚屋さんにお願いしてもいいでしょう。)
*上身(じょうみ):魚をおろして、すべての骨を抜き、正身にした状態をいいます。
上身にしたのどぐろは脱水シート(ピチットシートまたはピチットシートマイルドタイプ)に包んで冷凍します。使う当日に解凍するときもピチットシートを利用しましょう。あとは作り方のページにあるように、霜振りをして削ぎ切りし盛り付けていきます。 ただし家庭用冷蔵庫の冷凍室では温度が限られていますから(通常はマイナス18度~マイナス20度程度)何日も保存することは避けたほうがいいでしょう。
のどぐろしゃぶしゃぶ お取り寄せ【食べ方】
のどぐろしゃぶしゃぶのおいしさををご家庭でお試しいただきたいと思うのですが、調理に自信がないという方もいらっしゃいます。しゃぶしゃぶ用にセットされたものをお取り寄せして使う方法もあります。
通販では鍋だしや薬味などがセットになったのどぐろしゃぶしゃぶ商品が、数多く売られています。ノドグロの皮目には霜降りまたは焼き霜がほどこされ、人数分にスライスされきれいに真空パックされています。ただし冷凍されていますから、召し上がるときは解凍にひと工夫必要です。
近ごろは水産加工業者や魚介販売業者さんの多くは急速冷凍(急速凍結・ショックフリーザー)の技術や設備を整えています。液体窒素やアルコールなどを介してさらに速く冷凍する方法なども行われています。 一般的には急速冷凍は30分以内で食材を最大氷結晶生成帯(食材が凍り始める温度帯・-1℃~-5℃)を通過させさらに低温帯へ進みます。
これは氷結晶を小さくして食材の細胞を壊すことを減少させ、ドリップの発生を抑えて冷凍保存できることになります。
「ドリップ」はご存知ですよね。肉、野菜、魚介など食材から出てくる液体で、水分に混じってうま味成分やタンパク質などの栄養分も含まれています。急速冷凍により冷凍時のドリップ発生を抑えることになりますが、食材を使うがわとしては解凍時にドリップが出ないよう注意しなければなりません。
解凍時にドリップが発生しやすい要件は食材によって異なります。野菜、肉、魚介のそれぞれの品種によっても違いがみられるということです。ですから解凍の方法も食材に合わせた方法を選ばなくてはなりません。
例えばマグロなど刺身用に柵取りしたものは、氷水でゆっくり時間をかけて解凍するのがドリップを抑える解凍法であると一般的には言われています。(マグロ柵に関しては、塩を入れた温水で短時間に解凍してしまうというやり方もあるのですが…)
のどぐろしゃぶしゃぶ用にスライスされたものは、使う間際まで冷凍保存しておき、召し上がる直前に真空パックのまま流水で解凍して使うようにします。 刺身用やフィレの状態の冷凍パックなどは、氷をいれた水の中に真空パックのまま沈めて少し時間をかけて解凍するやり方もありますが、しゃぶしゃぶ用はそれらより薄いスライスですから、時間をかけずに手早く解凍を行うほうが適切な処理かと思います。
解凍したノドグロはキッチンペーパーなどでやさしく拭いてから器に盛り付けます。できれば解凍したのどぐろは器に盛る前にピチットシート(レギュラーまたはマイルドタイプ)に包んでしばらく冷蔵庫で寝かせて適度に水気を取り除くとさらに効果的です。
解凍を上手にやりませんと、身に水分を含んだままではノドグロの”しゃぶしゃぶ”ではなく”シャバシャバ”になってしまいます。 このブログではしきりに脱水シート(ピチットシート)の効用ばかりを申しておりますが、実際に効果があります。ドリップを抑えて余分な水分を取り除きながらおいしく解凍できます。使い慣れたら手放せませんよ。
「のどぐろしゃぶしゃぶ」の(冷凍)お取り寄せ商品を使うことについてのお話をしましたが、肝心なのは急速冷凍される加工前ののどぐろ本体が新鮮で上質でなければなりません。本体が小さなのどぐろは避けたほうが無難です。信頼できる通販業者の製品をお求めください。
のどぐろしゃぶしゃぶ お取り寄せ【体験・口コミ】
のどぐろのしゃぶしゃぶを取り寄せて、ご家庭で召し上がった方お2人の体験と感想をご紹介します。クラウドソーシングサービスを通じて、ノドグロ商品の通販購入体験を募り大勢の方にご回答いただいたものです。(2022年7月で20人の回答)
回答者が選んだノドグロ商品は、一夜干しや開きなど干物商品がいちばん多く、しゃぶしゃぶはさほど多くはありません。金額が張るということもあると思いますが、お店などで召し上がる機会が少なく「のどぐろしゃぶしゃぶ」を知らなかったという方もいます。
のどぐろしゃぶしゃぶを食べた経験がない方は、はじめて通販で取り寄せたものがお店などで提供されているものに匹敵するお味なのか、はたまた残念なものなのか判断がつかないということがあります。
■西新橋「おおあみ」(閉店)単品4,290円、コース8,580円、
■人形町「新越」単品3,800円、コース8,800円、
■銀座、「中俣 」単品2,178円、コース12,100円。
何れのお店もコースの焼き物はのどぐろ塩焼きです。
偶にはお店の「のどぐろしゃぶしゃぶ」もいいのですが、お取り寄せでしたらご家庭でいつでも気軽にいただけますね。
のどぐろしゃぶしゃぶは紛れもなくおいしい料理です。でも単純な調理ですから素材の良し悪しに大きく依存します。のどぐろ自体が良質でなければ残念なことになります。 比較的小ぶりなのどぐろを使い、安価にしゃぶしゃぶ提供しているお店もあります。
私の経験でも、やはり小さいのどぐろではしゃぶしゃぶの醍醐味は感じられませんでした。(大きく削ぎ切りして一見大きいようでも本体が小さければダメですね。)ほんとうにおいしいものを出しているお店を紹介してもらうなど、客としても知識や情報が必要かもしれません。通販での購入も信頼できるお店を見極めるのってたいへんすね。
⇓次はのどぐろしゃぶしゃぶをお取り寄せした体験談です。家族で召し上がり大変満足なさった方と、期待したほどではなかったという方、それぞれのお話は参考になると思います。
のどぐろしゃぶしゃぶと干物セットを購入。家族で充分に満足出来て愉しめる商品でした。
××1××1××様 男性・20代・学校教師・東京都文京区
■ご回答年月
2022年5/8
■購入したのどぐろ商品の名称
のどぐろの干物 / のどぐろのしゃぶしゃぶ
■どぐろ商品の使用目的
自家使用おつまみ
■購入年月
2022年1月
■購入先
楽天
■購入価格
35,000円 ■ノドグロ商品の購入理由
お正月用に贅沢をする為に購入しました。 のどぐろの高級な味わいや見た目や風格を楽しみにしてました。 私個人の中では高級魚と言ったらのどぐろが頭に浮かんでくるのも一つの理由です。 家族も大好きでのどぐろを愛しています。
■買ってよかった点、良くなかった点
干物は干し具合が丁度良く、グリルで焼くと油が下に落ちさっぱりした感じでとても美味しかったです。油も程よく、ご飯にも最高のバランスでお箸が進みます。大きさも丁度いいサイズでした。しゃぶしゃぶものどぐろの味を愉しむのに満足出来ました。お酒のおつまみとして最高で、日本酒との相性も良くて何杯も飲んでしまいました。しめの雑炊ものどぐろの味を堪能出来まして、高級魚というものの魅力を最後まで満足出来る商品でした。
■ノドグロ商品のおすすめポイントなど
朝、昼、夕食のどの食事シーンにも満足出来ます。 しゃぶしゃぶは朝は難しいですが、家族で充分に満足出来て楽しめる商品です。 中々無いものなので、是非是非食べて欲しいです。 干物はご飯にも合い、高級な定食の出来上がりになります。 上品な食事を堪能出来るのでオススメです。 子供から大人まで誰もが満足出来る商品だと思います。
■のどぐろに関する、そのほか感想(や思い入れ)
のどぐろの1番美味しい料理は塩焼きですよね。 塩焼きはシンプルですが、これに勝るものはないです。 お寿司やお刺身でも楽しめますが、やっぱり脂を楽しむには塩焼きになります。 おつまみにも食事にもどれにも相性がいいのでオススメさせてください。 のどぐろの商品は値段が高いですが、どの商品も満足行くのでコスパは良いと思います。 ご褒美やお祝い事などのシーンでのどぐろは最高です。 天然ののどぐろはその中でも飛び抜けて美味いです。
「のどぐろの干物」 と「のどぐろのしゃぶしゃぶ」をお正月用に購入した方の感想をお寄せいただきました。どちらの商品もご家族で愉しんで召し上がったご様子が伝わってまいりました。何人分だったのかわかりませんが、合計で35,000円もお支払いなさった価値があったようです。
ノドグロは高価であることを覚悟して、思い切って高額商品を選んだことが功を奏したということでしょう。良いノドグロ商品は味もさることながら盛り映えもよく、さらなる満足感が得られることでしょう。
のどぐろしゃぶしゃぶを通販でお取り寄せになる方は、干物や一夜干しに比べてまだまだ少ないようです。のどぐろしゃぶしゃぶは贅沢な食べかたですが、刺身・焼・煮などとはまた異なるおいしさを愉しめます。お試しになる価値はあると思っています。
「のどぐろしゃぶしゃぶ」初挑戦! 本当はもっとおいしいのかな?
■お名前:●×u●×8● 様
女性・30代・自営業・東京23区内
■ご回答年月
2022年7/13
■購入したのどぐろ商品の名称
のどぐろ しゃぶしゃぶ 鍋セット
■どぐろ商品の使用目的
自家使用
■購入年月
2021年12月。
■購入先
楽天
■購入価格
15000円(税込み)
■ノドグロ商品の購入理由
ふるさと納税で何か年末に食べる少し贅沢なものでも買おうということで、カニや和牛などを調べていたところ、ランキングの中から「のどぐろしゃぶしゃぶ」というキーワードを見つけ、気になったため購入しました。カニや和牛は昨年も食べたので初挑戦でした。
■買ってよかった点、良くなかった点
正直、「普通においしい」といったかんじでした。高級魚のどぐろのお鍋!と夫と二人で食べる前から期待値が高すぎたせいもありますが、いざ食べてみると普通においしいけど・・・特別感動はないね?といったところでした。説明書にあった通りゆっくり流水解凍もしたのですが、私たちの調理法に不備があったのかもしれません。本当はもっとおいしかったのかな?次は誰が調理しても間違いのないのどぐろ一夜干しにでもしようかな、と考えています。
■ノドグロ商品のおすすめポイントなど
決して安くはない商品なので、面倒くさがらずに説明書通りに調理することをおすすめします!そうすればきっと極上ののどぐろしゃぶしゃぶを楽しめるはず・・・です。おいしいのどぐろをさんざん食べてるよ、という方にはお勧めできないかもです・・・。金額は高くとも、のどぐろ専門店などに行く方が結果としてトータルの満足度は高いと思います。
■のどぐろに関する、そのほか感想(や思い入れ)
初めてのどぐろを食べたのは会社の仲間内での会食で銀座ののどぐろ専門店に行ったときでした。高級魚であるという事は知っていたのですが、実際に食べたことはなく、お造りから揚げ物、開きや鍋などこれでもかというほどのどぐろを堪能出来、その日一日でのどぐろファンになりました。しかし、家でのどぐろしゃぶしゃぶをやって思ったことは「のどぐろは外で食べよう」でした(笑)やはりプロに任せて、最適な調理をされたのどぐろを心行くまで楽しみたいと思います。
お取り寄せしたのどぐろしゃぶしゃぶはいまひとつ感心できなかったようですが、どこに原因があったのでしょうか。料理関連の業界にも携わったことがおありの方のようですから、たぶんお分かりになっていらっしゃるのではないのでしょうか。
このブログ内で解凍に関することなども申しましたが、ノドグロの素材が良くないのでしたら、どのような方法であっても飛び切りによくなることはありません。
例えば、チェーン店の廻る寿司屋にものどぐろ寿司はあります。100円や200円で提供されています。あれはあれで価格なりにまあおいしくできていますが、ノドグロ本来の旨さを知っている人は大きな期待はせずに召し上がっているのではないでしょうか。別物と捉えているのだと思います。
高級寿司屋とまでいかなくても、街のちょっとしたすし屋で(敢えてたとえるなら客単価1万円~程度のおみせ)、まぁまぁのノドグロを使い職人さんがその場でにぎってくれる寿司だってかなりうまいでしょ。廻るのどぐろ寿司の比ではありません。(素材が違うということをいいたかったのですが。) (本稿にあたり先週は3カ所の回る寿司屋を訪れ2軒でのどぐろを食べてみました。どちらも小さなのどぐろを使っているのがわかります。1カ所はノドグロがありませんでした。)
通販で購入するのどぐろしゃぶしゃぶはすでにカットされ冷凍されています。板前が直前に調理したものとは差があることは自明で、こちらができることは食べ方の工夫しかありません。
肝心なのはその商品は上等なのどぐろ素材を使って、適切な加工をしてあるかということです。 そのうちに和食レストランチェーン店などでも、安価なのどぐろしゃぶしゃぶが出て来るかもしれません。素材の面では通販お取り寄せ商品のほうが個人的には期待できそうです。
回りくどくもうしましたが、外食での「のどぐろしゃぶしゃぶ」とお取り寄せのものをご家庭で召し上がるのでは、それぞれ愉しみ方が違うのだろうという気がします。いろいろなシチュエーションで「のどぐろ」料理を愉しみましょう。
この記事はAIKOが担当しました。
ほとんど毎日お魚を食べています。調理しごとが好きです。魚捌きから干物や燻製も自分で作ります。魚河岸が築地にあったころは、料理人のお供をして魚河岸に通っていました。ノドグロをはじめいろいろなおさかなの話題をお届けします。